ファブリー病があなたの家系にあるかどうか知るには
ファブリー病は遺伝性の疾患であり、家族内で流行することを意味します。症状が現れても診断がつくまでに10年以上かかることもあるため、この病気の変異した遺伝子を持っていても気づかないことがあります。
遺伝子検査によって、心臓や腎臓、その他の臓器に影響が出る前に、早期にファブリー病かどうかを知ることができます。異常な遺伝子を持っていることが分かれば、これらの問題を防ぐための治療を始めることができます。また、ご家族の方にもファブリー病の可能性があることを伝え、検査を受けていただくことができます。
ファブリー病の遺伝のしくみ
ファブリー病の原因は、GLA遺伝子の変異(変化)です。この遺伝子は、体内の脂肪の一種を分解する「α-ガラクトシダーゼA」という酵素を作る命令を担っています。
GLA遺伝子が正しく働かないと、体内で酵素が作られず、体中の細胞に脂肪が蓄積されます。蓄積された脂肪は、腎臓障害、心臓発作、脳卒中などの問題を引き起こす可能性があります。
欠陥のある遺伝子はX染色体上にあります。女の子と女性は2つのX染色体(XX)を持っています。男の子と男性は、XとYの染色体を1つずつ持っています(XY)。
女性の場合、もう一方のX染色体は正常なので、α-ガラクトシダーゼA酵素を作ることができるため、症状が現れないことがあります。男性はX染色体が1本しかないため、この酵素をほとんど作らないので、病気の症状が出ます。
どのような人が検査を受けるべきでしょうか?
家族にファブリー病の人がいる場合、遺伝子検査が必要かどうか医師に相談してください。また、以下のような症状がある場合も、検査が必要な場合があります。
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手足が焼けるように痛い、熱くなる
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肌の赤紫色の斑点、特に水着で隠れる部分
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通常より汗をかかない
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目の前の部分に曇りや筋がある
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耳鳴りがする
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難聴
ファブリー病の遺伝子検査は、通常、保険でカバーされます。また、米国腎臓病患者会は、無料ファブリー診断検査・教育プログラムを通じて、その費用を負担しています。
遺伝子検査のしくみ
医師は、血液中のα-ガラクトシダーゼA酵素の量を測定する検査を行います。ファブリー病の男性には、この酵素が全くないか、あってもごくわずかしかありません。また、異常な遺伝子を調べる遺伝子検査が必要な場合もあります。
女の子や女性は酵素の量がほぼ正常であるため、ファブリー病の原因となる異常な遺伝子を持っているかどうかを確認するために遺伝子検査が必要になります。異常な遺伝子を持つ多くの女性は、体の一部に症状が出ることがあります。また、異常な遺伝子を子供に受け継ぐこともあります。
医師は、赤ちゃんが生まれる前にファブリー病を検査することができます。成長期の赤ちゃんの周りから体液や組織のサンプルを取り出し、その酵素を検査するのです。ワシントン州やイリノイ州を含むいくつかの州では、新生児のファブリー病検査を定期的に行っています。
家族の誰かがファブリー病の診断を受けたら、医師は家系図を作成することができます。そして、他の家族もこの遺伝子を持っているかどうか、検査を受けることができます。家族の中で一人がこの病気にかかると、平均してあと5人の家族も診断されることが研究でわかっています。
ご家族がファブリー病であることを知れば、必要であれば治療を開始することができます。
遺伝カウンセリング
遺伝カウンセラーは、あなたがファブリー病のリスクがあるかどうか、あるいは、あなたがその遺伝子を子供に受け継ぐ可能性があるかどうかを知る手助けをしてくれます。あなたが既に遺伝子検査を受けたことがある場合、カウンセラーは 結果についてあなたと話し合い、それが何を意味するのかを教えてく れます。
遺伝カウンセリングは、あなたが子供を持ちたいと考えてい る場合の選択肢について学ぶのにも役立ちます。着床前遺伝子診断(PGT)と呼ばれる検査は、家族にファブリー病が いる人が受けることができます。まず、体外受精(IVF)を行い、数個の胚を作ります。そして、医師が母親の子宮に胚を入れる前に、PGTがそれぞれの胚を検査します。この方法では、ファブリー病遺伝子を持たない胚を選択することができます。
主治医に遺伝カウンセラーを紹介してもらうか、保険会社に連絡し て、あなたのヘルスケアプランに組み込まれているカウンセラーを 探すことができます。また、全米遺伝カウンセラー協会のウェブサイトには、 全国の遺伝カウンセラーのディレクトリがあります。