20種類ある必須アミノ酸のうち、実際に必須なのは9種類です。その9種類のうち、3種類は分岐鎖アミノ酸(BCAA)です。ロイシンはこの2つのグループに属しています。どのBCAAも筋肉の形成と修復に不可欠ですが、なかでもロイシンが最も重要であるとする研究者もいます。
BCAAはその分子構造からその名がつきました。BCAAは体内で作ることができないので必須ですが、食品から摂取することができます。ロイシン以外のBCAAには、バリンとイソロイシンがあります。BCAAサプリメントが、食事から摂取するよりも筋肉量や筋肉の回復力を向上させるかどうかについては、ほとんど結論が出ていません。
ロイシンが必要な理由
ロイシンは体内で様々な働きをします。血糖値の調整、創傷治癒の改善、成長ホルモンの生成などです。しかし、ロイシンは筋肉系での役割で最もよく知られており、以下のような機能があります。
筋肉の増強
ロイシンが筋肉の増強と修復に不可欠であること は、科学者の間でも知られています。しかし、ロイシンやその他のBCAAを補給することで、筋肉の形成や修復が早くなるのかどうかについては、まだよくわかっていません。
米国国立衛生研究所によると、BCAAサプリメントは持久力を高めることはないようですが、筋力トレーニングと組み合わせると筋肉量を増やす可能性があるそうです。また、サプリメントを使うことが、食事でタンパク質を増やすことより優れているかどうかは、明らかではありません。
筋肉の回復
ロイシンは、激しい運動をした後の筋肉の回復を助けると考えられています。高い運動能力を持つサイクリストを対象としたある研究では、運動後にロイシンを摂取すると、翌日のスピードが向上したそうです。また、全体的な疲労感も少なかったと報告されています。
筋肉の減少を防ぐ
ロイシンは、高齢者、特にサルコペニア(筋肉減少症)の人の筋力を向上させることが示されています。また、運動によってその効果が高まることもあります。ある研究では、高齢の男性は、タンパク質が不足していないにもかかわらず、タンパク質の合成を増加させました。
体重管理
ロイシンは体重のコントロールに役立つと考えられています。動物実験では、ロイシンのサプリメントを摂取すると、食欲を調節するホルモンであるレプチンに対する反応が増加しました。
高タンパク食の成功は、血糖値を調整するロイシンの役割に一因があると考える研究者もいます。
ロイシンを含む食品
ロイシンをはじめとするBCAAは、食品から摂取するのが最も安全です。食品医薬品局(FDA)はサプリメントを規制していませんので、サプリメントに記載されているものが正確に含まれているとは限りません。また、サプリメントには副作用があったり、他の薬との相互作用がある場合もあります。食事から摂取できるものは、ほとんどが安全で、安価で、味もよいものです。
食品の栄養表示には個々のアミノ酸は記載されていませんので、ほとんどの人は、十分な量のタンパク質を摂取していることを確認すればよいでしょう。成人の場合、体重20ポンド(約13kg)あたり約7gのタンパク質が必要なので、体重140ポンドの人なら49gが必要ということになります。
植物性食品と動物性食品の両方がタンパク質の必要量を満たすことができます。かつて動物性食品は、必須アミノ酸をすべて含んでいるため、タンパク質の摂取に優れていると考えられていました。
栄養士は、必須アミノ酸を一度に摂取する必要はないとしています。ビーガンやベジタリアンの方でも、推奨されるタンパク質を簡単に摂取することができます。
ロイシンをはじめとするBCAAは、食事から摂取でき るものも多くあります。健康的なアミノ酸の摂取源として、以下のようなものを考えてみましょう。
1. サーモン
サーモンからアミノ酸を摂取すると、オメガ3 系脂肪酸も摂取することができます。養殖のサーモンには健康上の懸念があります。天然ものを選ぶか、1ヶ月の摂取量を制限しましょう。
2.ひよこ豆
ひよこ豆は、カップ半分で7gのタンパク質と6gの食物繊維を含む栄養価の高い食材です。フムスにしたり、スープやシチュー、カレー、サラダなどに加えて楽しんでください。?
3. 玄米
白米の代わりに玄米を試してみてください。ナッツのような味わいと、少し歯ごたえのある食感を楽しむことができますよ。
4. 卵
アメリカ心臓協会でさえ、1日1個の卵は大丈夫だと言っています。その卵で6gのタンパク質を摂ることができます。
5. 大豆
豆腐、テンペ、枝豆、炒り豆など、さまざまな形で利用できる万能豆です。現在では、大豆たん白はスーパーマーケットで簡単に手に入れることができます。肉の代わりに使える料理も多い。
6.ナッツ類
アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツは必須アミノ酸の良い供給源です。ピーナッツもそうですが、これらは厳密にはナッツではなく豆類なのです。
7. 牛肉牛肉は、アミノ酸の最も優れた供給源のひとつです。脂肪とコレステロールの摂取を減らすには、赤身の肉を選ぶか、牧草で育てられた牛肉を試してみてください。