アズトラゼネカの新しい乳がん治療薬「エンヘルトゥ」について知っておくべきことすべて。
?バイオ医薬品大手のアストラゼネカPLCはこのほど、約500人の女性を対象とした大規模臨床試験の結果に基づき、乳がん治療薬「エンヘルトゥ」が、進行期の女性において疾患の進行と死亡リスクを大幅に抑制することができたと発表しました。アストラゼネカスのオンコロジー部門の責任者であるDave Fredricksonは、転移性乳癌においてこのような効果の大きさを見たのは初めてであると述べています。
臨床試験結果
エンヘルトゥは、進行性乳がんの女性患者さんにおいて、現行の乳がん治療薬であるロシュ・ホールディング社のカドサイラよりも高い成功率で腫瘍の進行と死亡リスクを管理することを実証しました。臨床試験の結果では、エンヘルトが投与された女性の75.8%が、治療開始後1年間病勢が進行していないことが確認されました。一方、カドサイラを投与された女性では、投与後1年間病勢進行が認められなかったのは34.1%でした。
エンハータス 現在の応用と可能性
現在、進行性HER2陽性乳がんの治療を受けている女性において、エンヘルトゥは3次治療として使用されています。つまり、2種類の治療法を行ったものの、病気の進行を止めることができなかった場合に、次の治療法として使用されます。今回の臨床試験の結果は、乳がん治療の早い段階で本剤が使用される可能性があることを示すポジティブな兆候です。また、早期癌や他の癌の治療にも応用できる可能性があります。
従来の化学療法は、腫瘍細胞と正常な健康な細胞を区別することができません。エンヘルトゥは、健康な細胞には作用せず、腫瘍のある部位に化学療法剤を投与することができます。
バルセロナの国際乳がんセンターを率いるハビエル・コルツは、この臨床試験の結果は、エンヘルトがHER2陽性乳がんの女性のための新しい標準治療となる可能性があることを意味していると述べています。