側頭動脈炎:症状、原因、対処法についてご紹介します。
腫れると動脈の血流が悪くなり、頭痛や顔や関節の痛みなどの症状が出ます。動脈が狭くなったまま放置すると、視力障害や失明を引き起こす可能性もあります。薬物療法は、症状を改善し、深刻な健康問題を防ぐことができます。
原因
自己免疫疾患です。つまり、免疫系が誤って体の健康な組織を攻撃してしまうのです。巨細胞性動脈炎では、免疫細胞が血管に反応し、炎症を起こします。
何が引き金になるかは分かっていませんが、以下のような人は発症しやすいと言われています。
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50歳以上
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女性
- ヨーロッパ系(特に北欧(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド)出身の方
症状
主な症状?は、こめかみや頭皮に感じる頭痛です。痛みが強くなることもあります。
その他の症状としては
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発熱
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疲労
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噛むと顎が痛む
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顔の痛み
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目がかすむ、二重に見える、急に視力が落ちたなどの視力障害
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肩や腕、首、腰などの痛み
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食欲不振
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体重減少
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咳
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のどの痛み
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舌の痛み
これらの症状に気づいたら、主治医に知らせましょう。
リウマチ性多発筋痛との関連性
巨細胞性動脈炎の患者さんの約半数は、リウマチ性多発筋痛症(PMR)を併発しているそうですね。
PMRは炎症性の疾患で、関節が腫れるのが特徴です。症状は、腕、首、腰、太ももなどのこわばりや痛みです。薬で治療することができ、通常は数年で治ります。
この2つの症状がどのように、あるいはなぜ関連しているのかは明らかではありません。
診断名
医師は診察を行い、症状について尋ねます。また、頭皮の側頭動脈が腫れていないか、脈が弱くなっていないかを調べます。
側頭動脈の生検が必要な場合もあります。その場合、医師は頭皮の一部を麻痺させ、側頭動脈の小片を摘出します。その後、医師は顕微鏡でそれをチェックします。炎症を起こしている動脈の細胞は、顕微鏡で見ると非常に大きく見えます。
また、医師がこれらのうちの1つまたは複数を行うこともあります。
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血液検査。体内の炎症の兆候をチェックするためにサンプルを採取します。
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CTスキャン(コンピュータ断層撮影)。異なる角度から撮影した複数のX線写真を組み合わせて、動脈に関するより詳細な情報を表示します。
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MRIスキャン(磁気共鳴画像法)。強力な磁石と電波を使用して、動脈の詳細な画像を作成します。
動脈に炎症が起きると、血液はその中を通りにくくなります。巨細胞性動脈炎になると、目に酸素が行き届かなくなり、目にダメージを与える可能性があります。眼科医に診てもらう必要があるかもしれませんね。
治療法
巨細胞性動脈炎にかかったら、視力低下などを防ぐために、医師はすぐに薬物治療を開始します。主な治療法は、動脈の炎症を抑えるために、プレドニンなどのステロイドを大量に投与することです。この薬は毎日口から飲むことになります。
ほとんどの人は、1年から2年間ステロイドを服用しています。医師は、数ヶ月ごとに血液検査を行い、動脈の炎症が治まっているかどうかを確認します。炎症が治まれば、医師は薬の量を減らしていきます。
これらの薬は骨を弱める可能性があるので、医師は定期的な骨密度検査を勧めるかもしれません。医師は、骨の損傷を遅らせたり、予防するために、ビスフォスフォネートと呼ばれる処方薬と共に、カルシウムとビタミンDのサプリメントを摂取するよう提案するかもしれません。
その他に、がんや関節リウマチ、乾癬の治療によく用いられるメトトレキサートや、トシリズマブ(アクテムラ)と呼ばれる生物学的製剤が使用されることがあります。トシリズマブは、ステロイドの量を減らすために皮下注射で投与されます。この薬はステロイドと一緒に使用されることもあります。
また、血液を薄め、血栓を防ぐためにアスピリンを服用することもあります。