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人工知能が動物の遺伝子変異をスキャンし、ヒトの病気を予測する
By Lisa Rapaport
Nov. 16, 2021 -- 科学者がヒトゲノムを完全にマッピングしてから20年が経過したが、どのヒト遺伝子変異が無害で、どの遺伝子変異が病気や障害につながるかを見つけ出すことは、依然として課題である。
このたび、EVE(evolutionary model of variant effect)と呼ばれる新しい人工知能ツールが、数千の動物種の遺伝子変異を用いて、どのヒトの遺伝子変異が有害となり得るかを予測したと、科学者が『Nature』誌に報告した。
研究者たちはEVEにデータを与え、EVEは厳格な規則に従って処理し、学習したことを順次適応させていった。このようにして、EVEはデータを分類してパターンを特定し、新しい情報が古いパターンに疑問を投げかけた場合には軌道修正した。
研究者たちはまず、14万種以上の現存する生物種と絶滅した生物種からなる2億5000万個のタンパク質配列を用いてEVEを学習させた。次に、疾患との関連が知られている3,200以上のヒトの遺伝子を用いてEVEをテストした。その結果、EVEはこれらの遺伝子の疾患との関連性を正しく予測し、テストに合格した。
次に、同じ遺伝子の変異体を反映した3600万個の塩基配列をEVEに与えた。各配列は、タンパク質の構成単位を1つだけ変えたものである。
EVEは検出したパターンに基づいて、これらの変異配列のうち25万6,000個を無害なものと病気の原因になるものとに分類した。これまで、これらの変異は明確な意味を持たないと考えられていた。
EVEは診断ツールではありません。しかし、害を及ぼす可能性に基づいて遺伝子変異を分類するその能力は、病気の原因や病気の進行を特定する努力に役立つかもしれないと、科学者たちは示唆している。このような情報は、新しいスクリーニング検査や標的治療法を作るのに役立つかもしれない。
また、将来的には、EVEは医師が正確な診断と的を絞った予後予測や治療に使えるツールになるかもしれないと研究者は言う。しかし、その実現にはまだ時間がかかりそうだ。