猫の緑内障とは何か、その原因や症状、治療法についてご紹介します。
緑内障は、視神経と網膜に影響を与える一群の疾患を表す言葉です。この疾患による失明は、元に戻すことはできません。しかし、治療と定期的な検査により、特に初期の段階であれば、失明を遅らせたり、防いだりすることができます。
猫も緑内障になる?
人間や犬と同じように、猫も片目または両目に緑内障を発症することがあります。猫の場合、猫緑内障と呼ばれます。中高齢の猫に発症しやすい傾向があります。猫種を問わず発症する可能性があります。
猫の緑内障には、原発性緑内障と続発性緑内障の2種類があります。原発性および開放隅角緑内障はまれで、遺伝性であり、特定の猫種に多く発症します。ビルマやシャムなどの猫種がこれにあたります。続発性緑内障は、より一般的で、片目または両目が侵されることがあります。
猫の緑内障の原因とは?
猫の緑内障には、いくつかの原因や危険因子があります。そのいくつかを紹介します。
ぶどう膜炎です。猫の緑内障は、ぶどう膜炎とも呼ばれる目の重度の炎症によって起こることもあります。この場合、猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)、猫伝染性腹膜炎(FIP)の感染からトキソプラズマ症まで、あらゆるものが根本的な原因として考えられます。
眼内新生物です。猫の二次性緑内障は、リンパ腫(リンパ系のがん)、肉腫(骨や軟部組織のがん)、メラノーマ(皮膚がん)、猫の眼に発生する腫瘍などのがんとも関連が高いです。
猫房水誤飲症候群。高齢のメス猫に多くみられ、房水の方向がずれて、眼球の誤った部位に不適切な液体が溜まってしまう非常にまれな疾患です。また、眼圧が高くなり、緑内障の原因となります。この疾患の治療には、手術が有効であることが分かっています。
眼内出血のこと。眼球内の出血を特徴とするこの疾患も、猫の緑内障の原因となることがあります。通常、血栓が形成されて排液角をふさぎ、それによって房水の排出が妨げられます。出血は、外傷などによるものがあります。
猫の緑内障の症状とは?
猫が緑内障の可能性を示すサインには、次のようなものがあります。
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目の周りの痛み
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瞳孔の拡張、動かない、または動きが鈍い
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白目の赤み
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角膜の腫れや変色
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眼球が固い
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拡大された眼球
(←これ重要
緑内障の進行は、数ヶ月以上の長い時間をかけて起こるため、愛猫が緑内障かどうかを判断するのは難しい場合があります。ほとんどの猫は、目に違和感があっても普通に行動し続けます。そのため、警告のサインに気づきにくいのです。しかし、ぶどう膜炎やひどい目の炎症が関係している緑内障は、猫が痛がっている様子を見せるので、発見しやすいかもしれません。
猫の緑内障はどう診断される?
獣医師が眼圧計を使った検査を行います。眼圧計は、眼球の液圧を測定するための装置です。眼圧が正常値より高く、視力が低下している場合は、緑内障の可能性があります。
猫の緑内障の治療法とは?
治療には、手術と眼圧を下げるドルゾラミドやチモロールの点眼薬などの薬物療法が必要な場合があります。また、炎症を抑えるためにステロイド剤を処方することもあります。
眼圧を下げることで、これ以上のダメージを防ぐことができます。ぶどう膜炎による緑内障は、炎症を抑え、根本的な原因を治療することで対処します。特にその目が失明している場合は、痛みのある目を取り除く手術を薦めることもあります。