高血圧は糖尿病を悪化させますが、運動や食生活の改善、十分な睡眠をとることで、その悪影響に対抗することができます。
高血圧と糖尿病の両方がある場合、糖尿病が火元で、高血圧は火に加えられるガソリンと言えます。高血圧は、炎症や血管の損傷を増やすことで、糖尿病による健康への悪影響をさらに強めてしまいます。腎臓病や心筋梗塞を促し、脳卒中になる確率を上げる可能性があるのです。
研究によると、これらやその他の糖尿病合併症を予防するための理想的な血圧は、120/80未満です。ただし、あなたにとっての理想的な範囲と、その数値を達成する方法については、主治医に相談してください。
血圧が正常値を少し上回っている場合、医師はおそらく塩分を控えた食事と運動を勧めるでしょう。ナトリウムは1日2,300ミリグラム(食塩小さじ1杯分)までに制限しましょう。塩分を控えめにし、カリウムやマグネシウムなど血圧を下げる効果のある栄養素を含むDASH(Dietary approaches to stop hypertension)に似た食事をするとよいでしょう(ただし、末期の腎臓病であればカリウムを制限する必要があるかもしれません)。
睡眠も大切です。実は、血圧や糖尿病のコントロールには、塩分の制限と同じくらい重要なのです。最低でも6〜7時間眠れば、血圧も血糖値も驚くほど改善されます。
塩分摂取量を減らし、体重を減らすだけで、しばらくは血圧の薬を使わなくてすみますが、いずれは薬を飲む必要が出てくるでしょう。最高血圧(収縮期血圧)が130を大きく上回ったり、4~6年前から高血圧であったり、腎臓や網膜の障害などの合併症の兆候があったりすると、食事や運動に頼る以外に、ほぼ間違いなく少なくとも1種類の血圧の薬を服用する必要が出てくるでしょう。これらの薬剤の中には、糖尿病の人に適したものもあります。利尿剤とβ遮断薬の多くは血糖値を上げてしまいます。そこで代わりに、血糖値への影響が少ないカルシウム拮抗薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)から始めることになります。
1つの薬で血圧が下がらない場合は、医師が1つか2つの薬を追加することもあります。一度始めたら、ずっと飲み続けなければなりません。血圧がうまくコントロールできていると判断して薬の服用を中止すると、数日のうちに、これまで築いてきた心臓や血管の保護機能がすべて失われてしまいます。